横浜〜つくば各停バスの旅

発端

 まだ私が大学生だった頃、つくばにいる友人の浦栃氏と東京で会った際、何気なく、
「何で帰るの?電車?特急バス?各停バス?」
と言ったことがあった。浦栃氏は、
「各停バスなんかあるのか?」
と言った。
 それなら実際行ってみようと実行したのが今回の旅である。
 ご存じの通り、つくばは鉄道の無い街である。
 つくばへの交通手段は、東京駅とつくばセンターを結ぶ高速バスがメイン。高速バスが嫌な人でも、常磐線の土浦駅か荒川沖駅、ひたち野うしく駅からバスを使うのが普通である。
 しかし、高速バスはあくまで「特急」。「特急」があるなら「各停」の旅があってもいいじゃないか。
 そんな奇特な発想から旅は始まった。

 各駅バスの旅というのは私の発想ではない。
 古くは、鉄道作家の宮脇俊三氏が「旅の終りは個室寝台車」(新潮文庫)の中で「東京−大阪・国鉄のない旅」として、バスを乗り継いだ旅を行っている。
 これは正確にはバスだけの旅ではないが、新松田から豊橋まで、路線バスを乗り継いでの旅である。
 現在でも、私鉄とバスの旅はシモンさんなどが行っているし、バスマニアの間では、路線バスの乗り継ぎの旅が一般的のようである。
 なので特に目新しいことは無いのだが、実家のある横浜から出身大学院のあるつくばへの行き方のバリエーションとして、やってみるのも良いだろう。
 横浜の自宅からつくばまで約90km。一日の旅としては適当である。
 できれば建設中の常磐新線に沿ったルートにして、沿線を見ながら行きたい。

ルート選定

 横浜からつくばであれば行き当たりばったりで乗ったところで、それなりのバスの本数はあるだろうし、時間もたっぷりあるので特に問題は無いだろう。
とは思ったものの、普段鉄道で旅しているだけあって、どうも時刻表できちっと予定を立てないと気が済まない。
 それにどこか変なところでバスが無くなって、ヒッチハイクなんてことになったら馬鹿馬鹿しい。
 幸い、現在はインターネットという便利なものがあり、多くの方々が、バスの情報も提供してくださっている。
 おかげで、遠くからバスを利用するときにも、事前にある程度調べることができて便利になった。
 インターネットのページの中で、今回最も役に立つページは「Bus Service Map」である。
 このページには、首都圏のバスの路線がもれなく記載されている。しかも、線の太さで本数を表していので、どの路線が本数が多いかが一目瞭然である。
 今回は、このページから「松戸」と「柏」をダウンロードして印刷した。

 地図を見て愕然とした。
 国道6号を真っ直ぐ行こうと思っても、新葛飾橋を渡るバスが無いのである。新葛飾橋だけではない。上流の葛飾大橋、葛飾橋とも路線バスは設定されていない。
 その上流の上葛飾橋はバスが設定されているようだが、線は細い。
 また常磐新線の通る予定の流山市内は、路線のほとんどが点線、つまり一日の本数が9本以下の大変少ない路線になっている。
 常磐新線のルートはおろか、松戸市から柏市に抜けるだけで一苦労しそうである。
 常磐線沿いに行っても、最低でも5本のバスを乗り継がないと柏駅まで行けない。
 常磐新線沿いに行きたいなんて贅沢は言っていられないし、そもそも一日で行けるかが怪しくなってきた。

 「Bus Service Map」のページの唯一の欠点は、運行バス会社名が書いていないことである。
 時刻を問い合わせようにも、運行バス会社が分からないので問い合わせようが無い。
 幸い、千葉県内については「千葉&葛飾路線バス時刻表」という、これまた便利なページがあり、主要バス停の時刻が調べられる。
 このページには運行会社も載っている。このページと「Bus Service Map」を元にルートを決めて行く。

 まずは東京までのルート。横浜から川崎へは横浜市営バスが走っていることはすでに知っている。川崎から五反田へは東急バスが、五反田からは2本のバスを乗り継いで東京駅までは行ける。
 東京駅からのルートが問題である。おそらく当日は都営バス一日乗車券を買うので、行けるところまではなるべく都営バスで行きたい。
 都営バスで江戸川の近くまで行っているのは2系統。浅草から金町駅への草39系統と錦糸町駅から小岩駅への錦27系統である。
 ここで今回のバス乗り継ぎの旅にルールを付け加えることにした。同じ名前のバス停でしか乗り換えてはいけないというものである。
 こうしておかないと、極端な話、バスが無かったら歩いてしまえという話になってしまう。ただ、厳密にしてしまうと、「川崎駅西口」から「川崎駅」へ乗り継げないことになってしまうので、同一の鉄道駅に由来したバス停同士では乗り継ぎOKとした。
 このルールを加えたところ、東京駅から錦糸町経由で小岩駅へ行くルートに決まってしまう。東京駅から浅草方面へ行く東42甲系統は、草39系統と交差するものの、交差点にバス停は無く、「浅草松屋」から「浅草雷門」への別名バス停乗り継ぎとなってしまうからである。
 小岩駅北口からは国道14号市川橋を経由して無事江戸川を渡れる。バスの行き先は市川駅。つくばへのルートからはかなり離れている印象があるが、新葛飾橋にバスが無い以上、仕方がない。運行会社は京成タウンバスという会社らしい。
 市川駅から松戸駅までは、「Bus Service Map」によれば、かなり本数が多い。運行会社は京成バスである。松戸は京成バスのテリトリーらしい。
 問題は松戸から柏であるが、一つだけ、点線ルートを使わず、かつ一回乗換で行けるルートを見つけた。はるか北、江戸川台駅を経由するルートである。バス旅の場合、おそらく乗車時間より待ち時間の方が長くなってくることが予想される。近道をするより、乗換回数を少なくする方が重要だろう。おそらくその方が安い。
 茨城県内への入り方は、普通に考えると国道6号の大利根橋経由だろう。しかし大利根橋は平日4往復、休日2往復と非常にバスが少ない。ここは別ルートを通るべきである。
 「Bus Service Map」によれば、北柏駅からパークシティ守谷へのバスがあり、こちらはそれなりに本数があるようである。このバスは有料道路の新利根橋を通るが、柏からつくばへ行く場合、こちらの方が短絡ルートだし、常磐新線のルートにも近い。
 次は茨城県内である。残念ながら「Bus Service Map」は千葉県までしか載っていない。関東鉄道の公式ページは高速バスの情報ばかりで、路線バスについては掲載されていない。
 またまたインターネットを探し回ったところ、「BUS STOP Ibaraki〜いばらき路線バス案内所」という素晴らしいページが見つかった。これまた個人ページ。今回の旅ではこれらの個人ページが無かったらとても実行できなかっただろう。
 ページに掲載された路線図を見てまたまた愕然とした。
 茨城県内くらい、常磐新線ルートで行こうと思っていたのだが、県内に入って早速、守谷から伊奈谷和原方面のバスが無いのである。常磐新線ができれば一瞬で移動できる守谷から伊奈も、現在は取手か水海道を回らなければ移動できない。
 せっかくだから、いつも通っていた取手経由ではなく、水海道経由にしたいところであるが、水海道から土浦というバスは多数あるものの、守谷から水海道のバスは一日2往復。これまた事実上利用できない。
 取手駅を回ると、谷田部車庫で乗り換えて、つくばセンターまでつながる。パークシティ守谷行きのバスのうち戸頭団地経由のバスに乗れば、戸頭公園バス停で戸頭駅から来た取手駅西口に乗り換えられる。
 これで一応、ルートとしては横浜からつくばまでが、無事つながったことになる。

 次に、時間的に一日で行けるかである。
 「BUS STOP Ibaraki〜いばらき路線バス案内所」のページによれば、最後に乗るはずになる谷田部車庫からつくばセンター行きのバスの最終は20時35分。逆算すれば、この時刻までに谷田部車庫に着かねばならない。
 バス路線図、時刻表など、個人ページの情報は豊富だが、何故か載っていないのが所要時間。所要時間が分からねば、取手駅を何時のバスに乗れば最終に接続するのかが分からない。
 関東鉄道取手営業所に電話して、取手駅から谷田部車庫、戸頭公園から取手駅の所要時間を聞く。谷田部車庫の時刻からその時間を引いて最終接続時刻を調べ…という作業を続ける。
 北柏からパークシティ守谷のバスは東武鉄道と関東鉄道の共同運行。東武の公式ページから営業所の電話番号を調べる。このあたり一帯の担当は西柏営業所のようである。電話して所要時間を聞き、「千葉&葛飾路線バス時刻表」の時刻表と照らし合わせて最終接続時刻を書いてゆく。
 江戸川台から柏駅へのバスも本数が少なく、途中東大前で乗り換えることにしてみた。それでも江戸川台駅時点での最終接続は、13時43分になる。
 京成電鉄のページにアクセスして、担当していると思われる松戸営業所に電話する。最終接続時刻はどんどん早くなってゆく。
 小岩駅北口から市川駅へのバスは京成タウンバス。どこかに時刻表が無いかと探していたところ、京成電鉄のページからリンクされている「(社)東京バス協会 バス情報総合利用案内システム」というページに、東京都内全バス停の時刻表が載っていることが判明した。
 運営しているのは社団法人東京バス協会。半公式ページである。こういうサービスが、全国で行われれば、バスももっと利用しやすくなるのに…。
 バスの利用者がいないというのは、一つにはバス会社側が提供している情報が少ないというのもあるのではないかと思う。
 市川駅は東京都内ではないので、小岩駅北口の時刻は分かっても、所要時間は「(社)東京バス協会 バス情報総合利用案内システム」には表示されない。京成タウンバスに電話する。
「10分程度ですけど、市川橋がよく渋滞するのでご了承ください。」
 利用者がいないもう一つの理由は、時刻があいまいなことだろう。
 都営バスに関しては、東京都交通局のページと、先ほど見つけた「(社)東京バス協会 バス情報総合利用案内システム」のお陰で、電話の必要無く時刻が分かる。
 東急バスに電話して、川崎から五反田の所要時間を調べ、最終的に、乗るべきバスの時刻はなんと横浜駅発朝2番のバス。時刻にして6時40分。
 横浜からつくば。電車を使ってもわずか3時間の距離に行くのに、各停バスだと6時40分発が最終なのである。
 同時に調べた料金の合計は5000円強。各停バスの旅は時間とお金の浪費なのである。

 前夜、時刻表と乗り換えるのりばの案内図をページからダウンロードし、印刷する。
 こういう面は各社の公式ページが充実しており、京成電鉄、東武鉄道とも、自社駅のバスのりばの案内はしっかり載せていた。
 なぜか関東鉄道は、これさえも載せていなかった。

各停バスの旅

菊名地区センター→東寺尾5丁目

 決行日は平成14年2月15日。まだ夜も明けきらない6時に、菊名地区センターバス停に立っていた。
 横浜から川崎へのバスに乗るのに、横浜駅までは行く必要は無い。自宅最寄りのバス停である菊名地区センターから鶴見行きのバスが出ており、途中東寺尾5丁目で国道1号と交差する。
 外は寒く、コンビニで買った熱いお茶を湯たんぽ代わりにしてバスを待つ。回送バスが2本ほど通って行った。
 家を出てから気付いたが、眼鏡を忘れてしまい、バスの行き先案内が見えない。実に不便だ。
 やがて41系統始発、鶴見駅西口行きがやってくる。乗客は私一人。横浜市営バスは2本しか乗らないので、一日乗車券(エコライフチケット)を買ってもメリットが出ないため、バスカードで乗車。
「バスだけでつくばへ行くんですよ。」
と言うと運転手さんが驚いている。
 ガラガラだったバスは、わたうちだに付近から乗客が増えだし、ついに立ち客も出るようになった。
 車内の移動も自由にならないほどになったので、運転手さんの勧めもあり、後部の出口(横浜市営は前乗り後降りです)に近い位置に立つ。
 東寺尾5丁目で下車。交差点のバス停なので、川崎方面のバス停とは場所が違う。バスの進行方向に少し歩いて国道1号で左折すると、すぐに川崎方面のバス停が見えた。

東寺尾5丁目→川崎駅西口

 川崎駅西口行きの始発は6時28分。次の41系統の東寺尾5丁目着が20分だから次のバスでも間にあった。
 バス停でバスを待つ客は、私を含めて二人。そろそろ日の出か、空が明るくなってきた。
 始発バスはほぼ定時にやってきた。まあまあの乗車率である。特に渋滞に巻き込まれることもなく川崎駅西口へ。6時45分、ほぼ定刻に川崎駅西口着。

川崎駅→五反田駅

 次の東急バス、五反田駅行きは駅の東口から出る。6時48分発があるので、駅構内の自由通路を走り抜けたが、バスターミナルでののりばが分からない。
 26番のりばであることは分かっているのだが、重要なのは、地下道から何番の階段で地上に上がれば26番のりばのホームにあがれるのかである。東急のページから印刷したのりば案内には、それが書いていない。
 バスの誘導をしているおじさんに、
「26番のりばはどこですか?」
と聞く。すると、
「どこへ行くの?」
と言われた。
「五反田駅です。」(さすがにつくばですとは言いません。)
と言うと、
「10番の階段上がって。」
と即答。どうやらのりばの番号は、あまり使われていないようだ。
 東急バスは均一料金ではないのに、前乗り後降りで、料金先払い。行く先は自己申告だ。五反田駅までと言って250円を払う。
 多摩川大橋の東あたりでバス内に強い日が差してくる。街は完全に朝を迎えた。朝早かったので、ついうとうとする。
 朝のラッシュアワーに山手線の駅へ向かうバスだから混むかと思ったら、戸越付近で乗客はわずか3人になってしまった。
 渋滞に巻き込まれることもなく、逆に五反田駅には5分早着。
 次に乗る反96乙系統がちょうど出ようとしているところだったが、すでにドアを閉めていて乗れなかった。残念だが、本来乗れないはずのバスだったので諦める。

五反田駅→魚籃坂下

 次の反96乙系統は7時58分発だったので、五反田駅のNEWDAYSでおにぎりを買い、朝食とする。
 バス停に戻ってきて、反96乙系統にこだわることはないことに気付いた。反96系統は循環系統なので、逆回りの反96甲系統に乗っても良かったのである。
 時刻表を見ると、7時38分の反96甲系統があった。せっかく早着したのだからこれに乗るべきだった。NEWDAYSで朝食を買っている場合ではない。
 反96系統は、この時間、高輪台駅先回りの乙系統より品川駅先回りの甲系統の方が多い。次の甲系統は48分である。高輪台駅経由は以前に乗ったことがあるし、自転車で散々通った国道1号経由なので、今回は反96甲系統に乗ってみることにする。
 バスの運転手さんから「一日乗車券」を購入。このあと都営バスを3回ないし4回乗るので、「一日乗車券」を購入した方が安いのである。
 バスは八ツ山橋の近くを通って品川駅へ。車内でおにぎりを食べる。
 品川駅まではスムーズに進んだので、品川駅で時間調整。8時ちょうど、品川駅発。しかしここから遅れだした。
 このバスの魚籃坂下着は8時07分の予定である。一方、東京駅南口行きの東98系統のバスは8時09分発。バス停の位置が離れているから少しでも遅れると乗れない。
 魚籃坂下交差点を渡ったところがバス停なのだが、しっかり信号で引っかかる。時刻は8時09分。ハラハラしながら見守っていると、反96乙系統らしきバスが通過していった。あちらに乗っていれば間違いなく間にあったのにと思う。
 反96甲系統のバス停は離れているが、反96乙系統だと、白金高輪駅から赤羽橋まで、東98系統と同じ道を走る関係上、同じバス停に停まる。
 信号待ちの間に、運転手さんに東98系統のバス停の位置を聞いておき、バス停到着とともに走る。

魚籃坂下→東京駅南口

 バス待ちをしている人に聞くと、まだ8時09分発のバスは到着していないとのこと。
 3分ほど遅れて、東急バスの姿が見えた。東京駅に発着する唯一の東急バス、東98系統である。
 東98系統は、東急バスと都営バスの共同運行。都営バスが来れば「一日乗車券」があるのでお金はいらないが、東急バスだと200円払わねばならない。
 先を急ぎたいので、都営バスを待つことはやめ、お金を払って乗車。
 乗車したときは立ち客もいたが、赤羽橋で座席が空き、座れる。東京駅が近づくにつれ、車内はガラガラになってゆき、通過するバス停も増える。
 ふと気付いた。高速バスであればトイレが付いているが、各駅バスの場合、トイレはどうするのだろう。全く考えていなかった。しかも考えれば考えるほどトイレに行きたくなってくる。
 そうこうしているうちに東京駅着。途中のバス停を飛ばしたため、ほぼ定時になっていた。

東京駅北口→錦糸町駅

 次に乗る錦糸町駅行き、東22系統は8時43分発。トイレが気になるが、広い東京駅の南の端から北の端まで移動しての乗換なので、トイレに行っている時間は無い。
 走って北口1番のりばへ行くと、長蛇の列ができていた。その列に加わる。
 丸ノ内北口の前では、どこかの会社の労働組合かなにかがしきりに演説をしていた。ビラも配っていた。私はそういうものには興味が無いので、ビラを貰わなかったが、待つことになるのであれば貰っておけば時間つぶしになったのにと後悔する。
 8時43分になった。しかしバスは来ない。並んでいる人がいるから間違っても乗り遅れてはいないのだろう。
 本当に来るのか心配になってきた8時48分頃、ようやくバスが到着した。長蛇の列ができていたから心配したのだが、バスの収容力というのは意外に大きく、最後尾の席に座れた。
 運転手さんに聞いて分かったのだが、これは43分のバスではなく、遅れていた34分発のバス。道理で長蛇の列ができていたわけである。
 座れたので安心して眠る。
 地下鉄と接続する門前仲町で多数の人が降りて立ち客は無くなったが、木場駅で再び混みだす。基本的にバスに乗り通す人はなく、地下鉄駅から、または地下鉄駅へのアクセスとして、バスを利用するのが普通なのである。
 眠っていたらいつの間にか錦糸町駅着。9時15分が定時のところ、21分遅れの9時36分の到着となった。

錦糸町駅→小岩駅

 錦糸町駅の6番のりばで待っていると、ほどなく小岩行きのバスがやってきた。両国駅から来た錦27系統である。
 前に車椅子のマークを付けた低床バス。初めて乗る。機器類は後部に載っているのか、後部は高くなっていた。
 確かにお年寄りには便利なのかもしれないが、窓に対して床が低く、場所によっては床から座席までの高さがかなりあり、居住性はイマイチだ。考えてみれば、「特急バス」はハイデッカーの車両がもてはやされ、「各駅バス」は低床車がもてはやされている。同じバスでも逆の方向へ進化しているのが面白い。
 ちょうど満席だったので、運転手さんの横の機器スペースに荷物を置き、立つ。
「次は江東車庫です。次の江東車庫で、車両の修理のため、しばらく停まります。」
 耳を疑う放送が入る。運転手さんに聞くと、大した故障ではなく、ウィンカーの球が切れただけとのこと。江東車庫前には、助役とおぼしき人と作業員が二人で待機していた。
 いったん江東車庫のバス停に停車した後、車庫の助役とおぼしき人の誘導で車庫入口に停まる。
 珍しいから写真を撮りたいと申し出ると、運転手さんがドアを開けてくれた。車両の後部では、作業員がウィンカーの球の交換をしている。
 作業終了後、助役がバスに乗り込んで来て、
「大変御迷惑をおかけしました。」
と言って深々と頭を下げる。もっとも車内にいたのは、温厚そうなお年寄りばかりだったので、怒る人はなく、むしろハプニングを楽しんでいるようだ。
 小岩駅着予定は10時12分。運転手さんは、
「定時に着くと思いますよ。」
と言っていたものの、小岩駅前のフラワーロードへ入ったところで、路肩を駐車場と勘違いしている馬鹿が多数いたため、渋滞。運転手さんも、
「こりゃちょっと遅れます。」
と言い出した。10時16分頃小岩駅到着。

小岩駅北口→市川駅

 都営バスともお別れし、次に乗るのは京成タウンバスである。
 バス停は小岩駅北口となっているが、バス停は駅から320mほど歩いた蔵前橋通り沿いの路上である。実際は離れているものの、「同一の鉄道駅に由来したバス停同士」なので乗り継ぎOKである。
 蔵前橋通りに向かって走っていると、ちょうど10時18分発のタウンバスが走り去って行った。次は10時32分である。
 駅前にミスタードーナッツがあったので、駅前に戻り、一品購入してトイレを借りる。今後ともこういう方法でトイレを済ませていくしかない。
 10時32分からバス停で待機していたが、バスは来ない。バス停で待っているおばちゃんが、ご丁寧に、
「市川行きのバスはいつも遅れて来る。市川から来るバスはほとんど正確に来るだけど…。」
と演説。演説している間にバスが来る。おばちゃんは京成小岩へ行くらしく、このバスには乗らない。
 渋滞すると言われた市川橋はスムーズに進み、ほぼ定時に市川駅へ着いた。

市川駅→松戸駅

 1番のりばに松戸行きのバスが停まっていたので慌てて乗る。遅れていた10時42分発のバスである。
 今までは均一区間であったり、均一区間に合わせて前乗り後降りの料金先払いでだったが、ここで初めて後乗り前降りの料金後払いのバスになる。ただし、首都圏共通バスカードを持っているので、整理券は取らず、乗るときにカードリーダーに通すだけでよい。
 混んでいて最初は立つことになったが、すぐに座ることができた。先ほど購入したドーナッツを食べる。
 やがて車窓に常磐線が見えてきた。白地に青帯の見慣れた列車である。あの電車に乗れば、取手など数十分で到着するが、バスだと次の柏に行くのも一苦労である。
 やがて松戸駅に到着。

 松戸駅から江戸川台行きのバスは非常に少ない。10時11分発の次は12時01分発である。
 朝1番に乗ってきただけあって、ここまでは予定より早く来ることができた。しかしここから先は、12時01分、最終接続のバスに乗るしかない。
 無理して川崎で走ったり、魚籃坂下で走ったり、東急バスにお金を払ったりする必要はなかったのだが、何が起こるか分からないバスの旅。早く行くに越したことはない。
 せっかく時間ができたので、銀行へ行ったり、電話をかけたりと、今日やるべき用事を済ませる。
 ふとJRのホームを見ると、見たことのない電車が停まっている。E231系の試運転である。
 これからどんどん増えてくるだろうからいくらでも撮れる車両だろうが、撮影しておく。
 ちょうど松戸駅の北側に跨線橋があり、そこから見下ろす形で写真が撮れる。E501系も入ってきて、そっくりの並びも撮影できる。
 跨線橋の上で、発車を待っていたら、11時57分になってしまい、慌ててバス停へ走る。

松戸駅→江戸川台駅

 12時01分、江戸川台行きの京成バスは発車した。江戸川に沿って北上する路線である。
 途中、常磐新線の工事現場を通る。新線が開業したら、この辺りのバス路線はどのように変わるのだろうか。そしてその時も、各駅バスの旅ができるのだろうか。
 かつて自転車で、常磐新線沿線を走ったときに通った南流山駅を通る。見覚えのある景色だ。
 南流山から先は、1時間余に1本しかバスが無い地域。今回、千葉県内で最もネックとなった区間である。
 乗客はほとんどいなくなり、12時45分、江戸川台駅に到着。昼食を食べようと思っていたが、そんな店も見当たらない寂しい駅だ。
 降りるとき、運転席横のカードリーダーにバスカードを通していると、
「あれっ、乗って帰るんじゃないの。」
と言われる。それほど人が降りるのが不思議な駅で、かつ、私が用も無く乗っているように見えたのだろう。
「いえ、バスを乗り継いでつくばへ向かっているのでここで東武バスに乗換です。」
と答える。
「そんなバスあったかなぁ。あるとしたら東口だよ。」
と言われる。江戸川台駅に乗り入れているバスの運転手も知らないようなバス路線なのか。
 江戸川台駅は、ここまで乗ってきた松戸からのバスも、ここから乗る国立がんセンター方面のバスも、いずれも1時間余に1本しかない。そしてその接続はすこぶる悪い。
 会社は違うし、相手の存在を知らないようではそれも仕方のないことだろう。

 次に乗る東武バスは13時43分発である。
 時間があるので江戸川台駅周辺を歩いてみたが、本当に何もない。
 首都圏の駅で、バスの接続点ともなれば、それなりの安い飲食店があると思っていたが、それらしいものは見つからない。松戸で昼食を取っておけばよかったと少し反省する。
 幸い東口に、たこ焼き屋があったので、たこ焼きと焼きそばを食べる。それなりに美味かったのでよしとする。
 時間は有り余っているので、東武バス西柏営業所に電話して、今回の行程中唯一時刻不明のがんセンターから柏駅西口へのバスの時刻を聞く。
 するとがんセンター発13時54分の次が14時02分だと言う。次乗るバスの江戸川台駅出発が13時43分だから、54分に乗れるかが微妙だ。
 東口の東武バスのりばに東京駅行きの高速バスが来る。このバスもがんセンターを通るのだが、残念ながら高速バスなので、江戸川台とがんセンター間だけの利用はできない。
 もっとも利用できたとしても、今回の旅は「各停バス」だけで行くことに意義があるので乗らないだろう。
 西口のミニストップで、コーンスープ一品を購入し、トイレを借りる。東口に戻ると、次に乗る東武バスが到着していた。

江戸川台駅→国立がんセンター

 後ろの扉から乗り、カードリーダーにカードを通すと、運転手さんの横に行き、国立がんセンター着の時刻を尋ねる。
「ええと、がんセンターは54分ですね。」
 柏駅西口行きは同時発車である。
「54分発の柏駅西口行きには間に合いますか。」
と聞くと、
「間に合いますよ。だいたい早めに着くので。」
と答えた。早めに着くも何も、全線わずか9分のバスに、早めも何もあるのだろうか。
「でも意地悪なダイヤですよね。せっかくなら柏駅西口まで行ってくれればいいのに。」
と言うと、
「このバスもがんセンターでちょっと休んで柏駅西口に行くんですけどねぇ。」
と言う。運転手さんのハコダイヤを見ると、なんとこのバスがそのまま14時02分柏駅西口行きのバスになるのである。
 すぐに柏駅西口に向かうのに便を分けて、わざわざ別のバスにして料金を二重払いにしているのだから、やはり意地悪なダイヤである。
 運転手さんの言った通り、乗客はみなすぐ降りてしまい、すぐに私一人になった。
 見覚えのある東大柏キャンパス横を、乗降する客もいないバスはぐんぐん飛ばして行く。
 この路線はまだ走り出して間もないらしい。そういえば東武鉄道のページ自体にも掲載されていなかった。まだ周知されていないのか。
 13時50分、4分の早着で、国立がんセンターに滑り込んだ。が、乗り換えるバスはいない。
「あれ、まだ来ていないみたい。途中で停まって無かった?」
 運転手さんが言う。そういえば、途中、柏の葉公園付近で、東武の高速バスタイプの車両に並んで、一台、路線バスタイプのバスが停まっていた。
「そういえばさっき、一台、高速バスの間に並んで停まっていました。」
と言うと、
「あっ、それだ。」
と運転手さん。結局、国立がんセンターのバス停で待つことになった。

国立がんセンター→柏駅西口

 ほどなく税関経由柏駅西口行きのバスがやってきた。乗るとすぐに発車する。
 運転手さんの後ろに座ると、目の前が東武バス西柏営業所のバスの路線図である。
 よく見ると流山駅から柏駅西口へ行くバスが存在している。ためしに携帯電話で時刻を調べると、13時26分流山駅発というちょうどよいバスがある。
 もしかしてこっちのバスに乗った方が早かったのではと思ったがあとの祭り。
 車内でいろいろメモを取っていると、運転手さんから、
「何かの調査ですか?」
と聞かれる。
「いえ、路線バスを乗り継いで横浜からつくばへ行こうとしているんです。」
と答えたが、メモを取っている説明には全くなっていなかった気がする。
 バスの幹線ルートに入ったらしく、すぐ後ろからもバスが追ってくる。柏駅着14時12分、8分早着。
 次乗るバスが発車する5番のりばの位置を運転手さんに聞いて降りる。

柏駅西口→北柏駅入口

 5番のりばには市立柏高校行きのバスが停まっていた。運良く遅れていたようだ。
 ところが写真を撮っていたら出発してしまった。次のバスは14時26分の野田市駅行き。これに乗るしかない。
 バスは柏駅西口を出ると、国道6号に入った。自転車でつくばへ行くときにはメインルートとなる国道6号だが、バス旅では国道6号を走る区間は少ない。
 渋滞のメッカ、呼塚交差点を通り、国道6号から外れて脇道に入ると北柏駅入口。
 入口と称しているが、北柏駅はどこにあるのか見えない。これだけのわずかな距離にも関わらず、3分遅れ。

北柏駅入口→戸頭公園

 次に乗るバスは、東武鉄道と関東鉄道の共同運行で、どちらのバスが来るのか知らない。首都圏バスカードが使えるのかも分からない。
 東武バスが来れば、現在唯一の茨城県内を走る東武バスに乗れる。しかもこの路線、近々東武バスの撤退が噂されている。東武バスが来れば、最後の茨城県内東武バスに乗ったことになる。
 本数としては関東鉄道が多いが、ひそかに東武バスが来ることを期待していた。
 向かいの車線を、茨城県から来た東武バスの北柏駅行きが通過していく。そしてこちらの車線には、見慣れた青緑色の車体の関東鉄道バスが到着した。
 首都圏共通バスカードは使えなかった。もはや首都圏ではないのである。今回のバス旅で初めて整理券を取る。
 バスは柏市内を走ったあと、新利根橋有料道路に入る。今回のバス旅唯一の有料道路である。
 東武バスとすれ違えば貴重なので撮影しようと思っていたが、残念ながら全くすれ違わなかった。さっき、北柏駅入口のバス停で見かけたから、確率的には見かけない方が正しい。
 橋の茨城県側が料金所で、バスはいったん停止して、回数券を出す。珍しい光景だ。ちなみにこの区間も、以前自転車で走ったことがある。
 自転車で走った時に休んだジャスコの角を右に曲がり、戸頭団地の中へと入ってゆく。
 この戸頭団地を迂回してくれるおかげで、次に乗る取手行きと接触してくれるのである。
 同じパークシティ守谷行きのバスでも、戸頭団地を経由しない便もある。夕方以降は、戸頭団地を経由しない便が多くなる。
 14時59分。5分遅れで戸頭公園バス停に着いた。運賃箱に料金と整理券を入れる。

戸頭公園→取手駅西口

 静かな団地の中、茨城県に入ったという感じがする。つくばまでのバス旅もあと少しである。
 しかしこのバス停、団地の中の公園にあるバス停で、時間を潰す場所が全くない。
 次のバスは15時12分なので、今回は運良くほとんど待ち時間が無いが、最終のバスと1本前の間は2時間も空く。
 こんなところで2時間も待たされたら、一体何をしていれば良いのだろう。
 実は茨城No.1のラーメン屋と言われる家系ラーメン吉村家の直弟子「わかとら家」が近いのだが、バス停との位置関係が分からない。
 2時間あれば歩いて行って食べて来るのだろうか。
 バス停で待っていると、「やまゆり号」というバスが通過していった。守谷市福祉循環バスで、関東鉄道が委託運行している。水海道経由でつくばへ向かう場合は、このバスで守谷駅に向かえばよい。
 2分ほど遅れて取手行きのバスがやってきた。
 バスは、利根川沿いの道を東へ走る。途中取手スポーツセンターというバス停で小休止。時間調整の感じもしなかったし、何だったのだろう。
 次第に町中へ入ってゆき、終点取手駅西口着15時33分。7分の早着である。

取手駅西口→谷田部車庫

 駅前のミスタードーナッツでドーナッツを購入し、トイレを済ませる。
 自動販売機でお茶を購入し、次のバスに乗る。次のバスは福原・高波経由谷田部車庫行きである。全行程ちょうど1時間。今回のバス旅で最長にして最高額の路線である。
 すでに下校時刻にかかっているのか、高校生が乗車して混んでいる。前向きの座席はすでに満席で、車両後部の、関東鉄道特有のロングシートに乗る。
 バスは取手駅を出ると、国道6号を北上、やがて左折し、伊奈の方へ向かう。
 途中、関東鉄道常総線の踏切を渡るところにバスの車庫がある。関東鉄道取手営業所であるが、何故かバス停の近くを通る路線はいずれもつくば中央営業所の担当で、取手営業所の車両はすべて車庫まで回送で走るという変な状況になっている。
 長旅の疲れで眠ってしまう。
 起きるとバスは、畑の中を走っていた。乗客は4人ほどに減っていた。高校生はどこへ行ったのだろうか。
 一番前の席にいるのは関東鉄道の社員らしく、運転手は同僚とだらだらしゃべりながら運転する。
 谷井田でその同僚が下車する。右折して細い道に入り福原。谷田部車庫までの道のりのまだ半分といったところである。
 取手ゴルフ場でみんな降りてしまい、一度は貸し切り状態になるが、板橋小でお婆さんが一人乗ってくる。これが路線バスの実態なのかもしれない。
 畑の中の細い道を関東鉄道バスが飛ばす。いかにも茨城県南という風情である。
 一般的に関東鉄道のバスは飛ばす。土浦駅からつくばセンターのバスも、最終など16分でつくばセンターに到着し、時間調整する。東京からの高速バスも、関東鉄道バスは10分前に出たJRバスを抜いたりする。
「いやぁ、それ(前のバスを抜く)はいけないって言われていて、上にばれたら大変ですよ。」
と運転手さんは言うが、すでに筑波大生の間では当たり前のように語り継がれている。どう見てもスピード違反の長距離トラックを悠々と追い抜いてゆく、それが関東鉄道バスなのだ。
「でもこの路線でも最終は飛ばしちゃって、谷田部車庫にかなり早く着きますよ。」
と運転手さん。やっぱり皆飛ばしているのである。
 バスはつくば市内に入る。常磐新線沿線走行の際、自転車で走った記憶がある道を通る。常磐高速に並行して走ってから掘り割りの高速を上を通るあたりなど間違いなく通った。もうつくば市役所のかなり近くまで来ているはずである。
 乗客はお婆さんと私と二人しかいないので、自然に世間話になる。(注.運転中運転士に話しかけてはいけません。)
 こんな乗客数じゃあ儲かっていないですよとか、常磐新線ができたら客が持っていかれるとかいう話になる。あまりに景気悪い話ばかりなので、常磐新線ができたら逆に、常磐新線の駅との間にバス路線ができてお客さんも来ますよと励ます。
 ただ、常磐新線ができたら、関東鉄道つくば中央営業所は大幅に規模縮小になるのは間違いない。
「しかしつくばセンターのバスターミナルももったいないですよね。14番ホームまであるのに、使っているのは6つだけですから。常磐新線の工事で使われないまま壊されるんでしょうね。」
と言うと、
「今は工事が始まってもっと狭くなってるよ。そうか、去年卒業だと知らないか。今日行ったら見てごらん。工事で狭くなって向き変えるときとか気を遣うよ。」
と言う。やっぱり使われないまま壊されているようだ。つくば博の時には使ったのだろうか。
 今日は横浜からバスの乗り継ぎで来たと言うと、
「昔、横浜に住んでいたことあってね。新子安って分かる?」
 分かるも分かる、今朝、最初に乗ったバスの行き先、鶴見駅の隣の駅である。
「日本ビクターって会社に勤めていて。ずっと昔だけどね。そこまで分からないか。」
 運転手さんも、懐かしい地名が出てきて嬉しかったのだろう。
 バスの料金はどんどん上がる。すでに800円を超えているから、終点まであと少しだろう。
 お婆さんも降りて一人になったと思ったら、バスがゴロゴロしている敷地にバスは入っていった。
「ハイ、終点の谷田部車庫でございます。ご乗車お疲れさまでした。」
 運転手さんが再び乗務員モードに戻って言う。両替し、880円をじゃらじゃらと払う。
 降りたところはまさに車庫の中。「谷田部車庫前」ではなく、「谷田部車庫」なのだ。

谷田部車庫→つくばセンター

 いよいよ次がラストランナー、17時15分発の筑波大学中央行きである。待ち時間は25分。1時間に1本も無い路線だから、非常にいい乗り継ぎである。
 筑波学園都市に行くだけであれば、17時12分発の筑波大学病院行きがある。しかし元々本数が少ないのに同じ方向に行くバスをよりによって3分差で出さなくてもいいのに…。何を考えているのだろう。
 17時頃まで、営業所前のベンチで、出ていくバスを見ながら時間を潰す。つくばセンターから東京駅への高速バスもこのつくば中央営業所が担当しているため、夕ラッシュに合わせて高速バスが次々出庫してゆく。一方で、仕事を終わったスクールバスが入庫してくる。
 17時過ぎから車庫向かいのバス停で待つ。筑波大学中央行きは、牛久駅から来るので、車庫内ではなく車庫向かいから出る。
 17時15分、ようやく筑波大学病院行きが現れた。夕ラッシュが近いからか、車庫のすぐ北にある上横場北交差点を先頭に渋滞しており、現れてもなかなか近づいてこない。
 筑波大学病院行きをやり過ごしさらに待つ。だんだん周りは暗くなってきて不安になってくる。17時前からいるのだから通れば気付かないはずは無いのだが…。
 17時30分頃になって、ようやく彼方にバスの姿が見えだした。しかしこれまた渋滞でなかなか近づいてこない。信号が青に変わっても、次の赤までに進めないのである。
 ようやく最終ランナーに乗車したときにはほっとした。
 上横場北交差点で右折し、国道354号を東へ向かう。しかしこの国道354号も渋滞しており、バスはますます遅れを増幅している。
 今までスムーズに来たのに、最後の最後、それも道が広いと言われているつくばで大渋滞にでくわすとは…。
 大角豆交差点からは学園東大通りに入る。ここからは大学院時代、バスでも何度か通った路線である。道が広くなるので遅れを取り戻すべく飛ばす。
 18時11分。今回の行程中最大の27分の遅れでつくばセンターに到着。すでに日は完全に沈んでいる。
 一応計画ではここまでだったが、今日泊めてもらう浦栃氏の家の最寄りバス停が、この先の平砂学生宿舎なので、このまま乗っていくことにする。

旅のあとで

やっぱり短絡ルートがあった

 道中でもうすうす気づいていたが、松戸と柏の間には短絡ルートがあった。
 途中でも述べた、流山駅から柏駅西口に至る路線を使う方法である。
 今回、松戸から乗った江戸川台駅行きのバスの流山駅着が12時32分。流山駅東口に回り、13時26分のバスに乗れば、14時ちょうどに柏駅西口に着く。
 ただ接続が悪いため、北柏駅入口から先は、結局同じバスになってしまう。

わずか10日後に減便

 数日後、自転車で走っていて気付いたのだが、2月25日から都営バスの反96系統がダイヤ改正されるらしい。
 バス停に貼ってあった新時刻表を見ると、減便ダイヤなのが一目瞭然である。
 五反田駅発の反96甲系統は約半分が品川駅止まり、残りの半分が赤羽橋駅止まりになり、循環系統なのに循環するのは平日昼間で見ると1時間に1本となってしまう。反96乙系統は、平日昼間1時間に1本のみ。
 五反田と魚籃坂下の間の移動が、ますます不便になってしまった。
 現在の反96系統は、平成12年12月12日に、当時の反96系統、四92系統、反90甲系統を統合してできたものである。五反田から高輪台駅経由赤羽橋駅までは反96系統に、赤羽橋駅から麻布十番駅経由品川駅までが四92系統に、品川駅から五反田駅が反90甲系統に由来する。
 今回の改正で、本来の反96系統の区間は減らされて、どちらかと言えば昔の反90甲系統に近い状態になってしまった。
 たまたま減便前に今回の旅が実行できたのは、運が良かったと言うしかない。

資料

会社営業所系統名・路線名乗車停留所
時刻
降車停留所
時刻
料金
横浜市交通局港北41菊名地区センター
6:04
東寺尾5丁目
6:17
210円
横浜市交通局鶴見東寺尾5丁目
6:28
川崎駅西口
6:45
210円
東急バス荏原反01川崎駅
6:55
五反田駅
7:40(5早)
250円
東京都交通局品川反96甲五反田駅
7:48
魚籃坂下
8:07(3遅)
200円*1
東急バス
(東京都交通局)
目黒
(目黒)
東98魚籃坂下
8:09(3遅)
東京駅南口
8:36
200円*2
東京都交通局江東東22東京駅北口
8:34(15遅)
錦糸町駅
9:15(21遅)
200円*1
東京都交通局江東錦27錦糸町駅
9:40
小岩駅
10:12(4遅)
200円*1
京成タウンバス

小岩駅北口
10:32(3遅)
市川駅
10:42
210円
京成電鉄松戸市川線市川駅
10:42(5遅)
松戸駅
11:17(1早)
350円
京成電鉄松戸流山線松戸駅
12:01
江戸川台駅
12:45
620円
東武鉄道西柏西柏03江戸川台駅
13:43
国立がんセンター
13:54(4早)
180円
東武鉄道西柏柏44国立がんセンター
13:54
柏駅西口
14:20(8早)
280円
東武鉄道西柏柏16柏駅西口
14:26
北柏駅入口
14:32(3遅)
170円
関東鉄道
(東武鉄道)
水海道
(西柏)
北柏04北柏駅入口
14:42(1遅)
戸頭公園
14:54(5遅)
370円
関東鉄道取手
戸頭公園
15:12(2遅)
取手駅西口
15:40(7早)
330円
関東鉄道つくば中央
取手駅西口
15:50
谷田部車庫
16:50
880円
関東鉄道つくば中央
谷田部車庫
17:15(19遅)
つくばセンター
17:47(24遅)
480円
 会社欄()内は、共同運行のうち乗車しなかった方の運行会社。
 営業所欄()内は、共同運行のうち乗車しなかった方の運行会社の営業所。
 時刻欄は定時の時刻を示す。(遅)(早)は遅延、早着。単位は分。
*1…都バス「一日乗車券」が使用可能。都バス「一日乗車券」は一枚500円。
*2…共同運行の東京都交通局車の場合、都バス「一日乗車券」が使用可能。今回は東急バス車に乗車したため、使用できなかった。

参考ページ(運行会社以外)

「Bus Service Map」(http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/5778/index.html)
「(社)東京バス協会 バス情報総合利用案内システム」(http://www.tokyobus.or.jp/)
「千葉&葛飾路線バス時刻表」(http://www.eris.ais.ne.jp/~kunyu/bus/)
「BUS STOP Ibaraki〜いばらき路線バス案内所」(http://i_bus.tripod.co.jp/index.html)
「私鉄と民営バス三昧の旅」(http://home.att.ne.jp/air/Simon/index.htm)
 運行バス会社各社、および上記ページの作者に感謝いたします。


こほろぎ AsaPi!(kohorogi--9gvb5wjz2nh6mmc8j@mikaka.org)